
とメールは締めくくられていて、ミッションインポッシブルの指令テープみたいだと思った。
「なお、このテープは自動的に消滅する」
「なお、KANKAWAさんは焼酎が大好きです」
どちらも強引で一方的な終わり方である。
それでも仕事の依頼である事は確かな様だったので、とりあえずおいしそうな芋焼酎を買って、ジャズミュージシャンの大御所、KANKAWAさんのお宅に向かった。
![]() 豚マンを語るKANKAWAさんとビッグ錠さん |
KANKAWAさん宅に着くと、早速、KANKAWAさんとビッグ錠さんの対談が始まった。話の内容は主に豚マンの素晴らしさについて。
・生活する為の、空気みたいなものや。
・豚マンがないと、大阪人が存在しない。
・俺、毎日でもええわぁ。
・豚まん食べて、嫌な顔する奴いないよ。
・俺の原点や、思って。
大の大人がすっかり豚マンの虜である。
僕は大阪出身ではないので、どうしてそこまで豚マンにやられてしまっているのか分からなかった。ただ、その熱い思いが今回の「豚マンを食べる会」につながり、それが更には新たなクリエイティブにつながっている。という事が徐々に分かって来た。その新たなクリエイティブの内容をざっくりとまとめるとこうだ。
・大阪に豚マンをこよなく愛するジャズミュージシャンと、マンガ家さんがいた。
・おじさんたちの豚マンに対する思いは熱く、気付くと「ブタマンマン」という曲とマンガを作っていた。
・それに東京のクリエイターたちが反応した。
・DJケンセイさんが「ブタマンマン」の歌をプロデュースして、
・映像クリエイター集団のAC部さんがそれを映像にする。
・NeoMでも、ブタマンマンの歌を映像化してくれる人を募集する。
たかだか(と言ったら怒られてしまうが)豚マン1つの為に、これだけの大人たちが本気で情熱を注ぎ、新しいうねりを生み出そうとしている。
豚マンって一体なんなんだ?
●うまいものがあって、それを伝えたいから形にする
対談が終わり場所を客間に移し、いよいよ「おいしい豚マンを食べる会」が始まる。
![]() テープルに豚マンが並べられた |
豚マンを囲むのは、KANKAWAさん、ビッグ錠さん、DJケンセイさん、大森さん(大阪のデザイナーさんで、この日のために冷凍でない豚マンをわざわざ大阪から持って来てくれた)、黒田さん。みんなテーブルの上に並べられた豚マンに視線が釘付けだ。
「これやこれ」
と上機嫌でKANKAWAさんが豚マンを手に取り、ビッグ錠さんが続く。そして、僕も豚マンを経験する。
うまい。確かにうまい。
「あかん!カラシつけな!」
何もつけずに豚マンを食べたらKANKAWAさんに叱られた。
言われた通りカラシをつける
あっ、ほんとにうまい。
「せやろ、これが大阪の豚マンや!!」
![]() 早速豚マンを手にするKANKAWAさん |
![]() DJケンセイさんも食べる |
KANKAWAさんは先ほどの対談の続き、豚マンがどれだけ大阪人にとって大切なのか、熱弁をふるい始める。豚マンは大阪人にとってのソウルフードであり、心のふるさとなのだ。と。
そして、
「大阪の豚マンを多くの人に愛して欲しい。その為だけに曲を作ったんや」
と、かすれた声でKANKAWAさんが言い放つ。
ハードボイルドなジャズマンがそこにいた。
「これ、結構お腹が膨らまるから」
とビッグ錠さんがおっしゃっていた通り、2個食べたらお腹一杯になってしまった。
●AC部、合流
始まった頃は明るかったのに、ふと外を見ればすっかり暗い。
KANKAWAさんの酔いも回り始め、BGMは「ブタマンマンのうた」。話題は豚マンからすっかり離れ、KANKAWAさんの半生を振り返りつつ、戦後復興時の日本のジャズマンたちの生き様が語られていく。
日本で初めて自家用飛行機を買ったのはジャズマンで、当時のギャラはトラック一杯に積まれた札束だった……。
そんな豪快な話が続く中、仕事で遅れていたAC部の板倉さんが駆けつけた。
![]() AC部合流 |
![]() いやあ |
![]() とにかく食え! |
板倉さんがKANKAWAさんとビッグ錠さんの間に座る。
場の勢いに乗り遅れているのを感じているのだろう。法事の席で慣れない親戚に囲まれた、みたいな状況になっている。
「とにかく食べろ!豚マン食べろ!」
やって来るなり豚マンを勧められている。
どうだ?
あっ、おいしい!
あかん!カラシつけな!
あっ、カラシ、おいしい
そうだろ、AC部!いい映像作れよ!
ハハハハハハ(一同笑)
![]() 豚マンを食べるビッグ錠さん |
![]() 豚マンを見つめるケンセイさん |
![]() 世界一うまい、豚マン |
おいしいものがあるから、曲を作った。
それに感銘した若者たちが曲をプロデュースして、映像を作る。
クリエイティブの根源みたいなものが、そこにはあった。
豚マンを巡る男たちの熱きロマンはこれからも続く。
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